仙台高等裁判所 昭和57年(け)5号 決定
申立人
川村〓
右の者に対する訴訟費用執行免除申立事件について、昭和五七年七月一四日当裁判所がなした棄却決定に対し、右申立人から異議の申立があつたので、次のとおり決定する。
主文
本件申立を棄却する。
理由
本件異議申立の趣意は、申立人は仙台高等裁判所昭和五七年(う)第二二号詐欺等被告事件について、昭和五七年六月二一日「原判決を破棄する。被告人を懲役六年に処する。原審及び当審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。」等の判決を受け、同判決は確定したので、訴訟費用の執行免除の申立をしたところ、同裁判所は右申立を棄却する旨決定したので、右棄却決定を取消し、訴訟費用の執行を免除してもらいたいというものである。
よつて一件記録を検討すると、申立人の訴訟費用執行免除の申立を棄却する旨の決定は昭和五七年七月一四日になされ、右決定書の謄本は同月一五日申立人に送達されたところ、申立人はこれに対し同月一九日異議の申立をしたことが明らかである。
訴訟費用執行免除の申立についてした決定に対しては、即時抗告をすることができ(刑訴法五〇四条)、高等裁判所がした即時抗告をすることができる決定に対する異議の申立(同法四二八条二項)に関しては抗告及び即時抗告に関する規定が準用される(同条三項)ところ、本件異議申立は同法四二二条に定める期間後になされたものであることが明白である。
そうすると、本件異議申立は、刑訴法の規定に違反した不適法な申立というべきであるから、同法四二八条三項、四二六条一項により本件異議申立を棄却することとし、主文のとおり決定する。
意見書(昭和五七年(け)第五号)
申立人 川村〓
本件異議申立が法定の期間内に提起された適法なものであることは、特別抗告人の主張のとおりである。
しかし、関係記録によれば、原決定が特別抗告人に訴訟費用負担の能力があるものと認めて訴訟費用執行免除申立を棄却したのは相当で、本件異議申立はいずれにしても棄却を免れないのであり、結局理由がないことに帰するものと思料する。
(昭和五七年八月三〇日 仙台高等裁判所第二刑事部)